社長は言うことがコロコロ変わる という事態が起こるカラクリ

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社長は言うことがコロコロ変わる
という事態が起こるカラク
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ある中小企業の社員さんが
鑑定を受けに来られた時の話です。

 

「うちの社長、
言うことがよく変わるんです」

 

社長から指示が出たので
それに取り組んでいたところ、

たまたま確認してみると
「そんなこと言ってない」
と言われたりするそうです。

 

彼は社長の意向に沿って
進めていたのですごく困る
というわけです。

 

こういった話はよくあります。

 

僕自身、部下から
「」また方針を変えるんですか?
と批判された経験があります。

 

実は、これって
社長が悪いのではないし、
社員が悪いものでもないのです。

 

理由があるのです。

 

その理由を知ることで
誤解が解けます。

 

社長からすると
手段が変わっているだけで
目的は変わっていないのです。

 

目的とは
「何のためにするか」
ということです。

 

そして目標とは
「目的のために何をするか」
となります。

 

そもそも目標とは、
単独では存在しません。

 

何のために(目的)があって
何をする(目標)が決まるのです。

 

まず社長は、
「業界の最王手になる」
といったビジョンを掲げます。

 

これが基礎となる「目的」です。

 

その目的達成のために、
「5年で店舗数を業界1位にする」
といった目標を立てます。

 

この社長の目標が
その下の部長にとって目的になります。

 

部長はそれを受けて、
「まず来年までに都心部の店舗を30に増やす」
というような目標を立てるわけです。

 

そして、この部長の目標が
課長の目的となるわけです。

 

その目的達成のために課長は
「半年以内に24区内の店舗を10に増やす」
という目標を立てます。

 

さらにその部下にとては
目標が目的となります。

 

この連鎖が
組織のプロジェクトになるわけです。

 

しかし、
急速な店舗展開をしますと
社員の育成が間に合いません。

 

その結果、サービスの質が落ちて
クレームの多発が起こったとします。

 

そのとき社長は、
目標を変更するのです。

 

「店舗は増やさなくていいから
アプリ開発を先に進めよう」

などと言い出すわけです。

 

社長からすると
目的は変わらないまま
目標を変えただけです。

 

しかし部長にとっては
目的が変わることになります。

 

「社長の言うことが変わる」
という事態のカラクリです。

 

会社の全体からすると
想定外の状況になったのですから
変更は英断です。

 

ただ、問題なのは
社長はその説明をしないことが
多いだけです。

 

なぜかというと
社長の思考スピードが早いからです。

 

社長はかなり前から
ひとりで黙々と考えていて
ここぞというタイミングで発表します。

 

しかし社員たちは
「えぇ、なんて急な方向転換だ」
「いままでの準備が無駄になっちゃう」
となるわけです。

 

社長という人は、ずっと
頭の中で考えているので
伝えているような気になっています。

 

そして詳しい説明がなく目的が変わり、
背景もよく分からないまま進んだりします。

 

このように、
社長の発言がコロコロ変わるのは
ちゃんと理由があるのです。

 


成長する会社になるには、
社長の性格や価値観を
部長たちが正しく認識できるか

ここにかかってきます。

 

また、社長は社長で、
部長や課長たちのスピードは
自分の半分くらいだということを
学ばねばなりません。

 

そもそも、

仕事が早くないと
社長は務まりません。

 

のんびりしている性格や
慎重派の人が社長になると
恐らく3年で会社をたたむことになるでしょう。

 

これは企業だけじゃなく、
個人店舗の経営にも
応用が利く考え方です。